ドイツ時計のニューカマー【時計王・松山 猛のBASEL2018】

バーゼル

 

バーゼル取材 DAY3

まだまだ知らない素晴らしい時計がある

コルネルという時計師は、ドイツのシュツットガルトで時計製作をしている気鋭の若手時計師だ。名古屋の時計店ヒラノの平野兄弟が、「バーゼルのホテルのラウンジでアポイントしているのですよ」と教えてくれたので、僕も興味津々と会いに出かけた。

コルネル氏の時計は、大先達のランゲ&ゾーネなどが採用していた、ドイツ伝統の4分の3プレート・ムーブメント・スタイルで、スワンネック・スタイルの緩急調整を持ち、さらにごく小さなビスで、穴石のリングを固定するシャトン留めまでを、忠実に再現していながら、驚きのコストパフォーマンスを誇っているものなのだ。

 

ドイツの新鋭「コルネル」(写真3枚)

 

世の中にはまだ彼のような、あまり知られてはいないが、良い仕事をしている作り手がたくさんいる。そして平野さんたちのような鋭い目を持つ人たちが、そのような人の作品を見つけ出し、世に送りだしてくれることを、一人の時計ファンとして喜びたいと思う。

ヒラノとのコラボレーションによって作られた、ステンレススティールケースのスモールセコンドモデルは、なんと驚きの55万円と聞く。そして新しいアプローチのレギュレーターモデルは予価65万円と、驚異的なコストパフォーマンスだ。日常使いの時計として、ドイツスタイルの時計を楽しむにはもってこいの価格だと言えるだろう。

バーゼルワールドの時期には、会場内にブースを持たずとも、こうして人と物の交流が盛んに行われているから面白い。正確な金額は知らないけれど、大手ブランドの出展料は数億円と聞く。小さなブースでも数百万単位はかかるだろうし、出店してもそれだけの収益のリターンが保障されてもいないから、個人的なコネクションを活用して、ビジネスチャンスを作るというわけだ。

 

時計店ヒラノとコラボレーション(写真2枚)

 

Profile
松山 猛 Takeshi Matsuyama
1946年京都生まれ。作家、作詞家、編集者。MEN’S EX本誌創刊以前の1980年代からスイス機械式時計のもの作りに注目し、取材、評論を続ける。バーゼル101年の歴史の3割を実際に取材してきたジャーナリストはそうはいない。

 

撮影・文/松山 猛

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